少年少女は銀河の夢を見るか

しがないジャニオタが思いや考えを綴っていきます。

Defiled

大学生になって現場にも積極的に赴くアクティブなジャニオタとなり、舞台を観る機会が格段に増えました。今回はDefiled を観に行ってきたので、その感想などについてボチボチ綴っていこうと思います。

 

これから先、舞台の内容に触れていくこととなるので今後観劇予定のある方は読まないことをお勧めします。私はこの舞台をネタバレすることなく観劇したことでより楽しめた(楽しめたというと少し語弊がありますが…)からです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回たまたま最前列という席で観劇をすることが出来、かつお恥ずかしながら新規故戸塚君の舞台を観劇するのは初めてだったのですが、戸塚君と勝村さんの熱量というか、オーラがすごかったです。日ごろアイドルの現場に際してあまり座席の位置というのは気にしない人間だったのですが舞台は近い方が良いですね…役者さんの熱量の伝わ具合が全然違いますね、あと後述しますが足だったり細かいところが見れて良いですね!かといって今後違法なチケット取引に手を染めるつもりは全く無いのですが…

 

序盤でディッキーが出て来て観客の笑いを誘っているとき、ふと戸塚君の方に目をやるとトントントンと小刻みに小さくに貧乏ゆすりをしていてこのステージに立っているのは戸塚祥太ではなくハリー・メンデルソンなのだと思いました。覚悟を決めた彼にとってカードを無事守ることが出来る、というミッションを達成するために交渉をはじめとした遠回りは不要でディッキーの身の上の話などは彼にとって時間の無駄であり、それゆえに苛立ちを覚えていたのではないでしょうか。

 

日頃戸塚君のインタビューなどを雑誌などで読んでいて思ったのですが彼は役を演じるというよりは憑依させてステージに立つ役者さんなのだなとこの舞台を観て私の中で確信しました。カードの保護が出来なかったら自分の命を捨てる覚悟を決めたハリーからは物凄い狂気が満ち溢れていました。戸塚君の持つ美しい顔と相まってとても怪しく、魅力的でした。

 

自分はカードを守る使命を与えられた、とハリーがディッキーに説くシーンで戸塚君が私の前に立った時、彼の瞳にはひとつだけ大きな星が強く強く輝いていました。

この星は、ただひとつ自分が守りたかったカードを通した”人間の温もり”の存在だったのかな、と私は考えています。

また戸塚君が違う役で舞台に立った時はもしかしたら沢山の小さな星屑が散らばった瞳があるかもしれない。もっともっと、彼のお芝居を観たいと思った瞬間でした。

 

余談にはなりますが、素の戸塚君の瞳もまた強くて大きなひとつの星が輝いていて、それは彼のステージに立ち続ける、という強い覚悟だったりするのかな、と新参者ではありますが私はそう考えています。聡明で繊細、少し不器用なところなど戸塚君はハリーに似ているなと思います。だから私は戸塚君がハリーを演じることになったのは偶然ではなく、運命で必然であったと思います。

 

最後、ダイナマイトの落下という*1彼が命を懸けて守ろうとした「アナログ」に殺されるという非常に皮肉な結末でこの作品は幕を下ろします。現存するカードを守ることは出来ても新刊のカードを書くことが出来ない、その事実を知り爆発して燃え行く図書館の中で、愛したカードの傍で絶望に満ち溢れた顔で生を終えていくハリーの顔は非常に印象的でした。証明が落とされ、段々と暗くなっていく舞台で舞台足元にあった照明によって照らされていく絶望に溢れたハリーの顔、そしてその照明も消えていくとともにハリーの顔の輪郭だけが目に強く焼き付いていきます。もうこのカードのシステムを守れないという事実に気づいてしまった彼の顔を私は一生忘れないと思います。

 

…また大変お恥ずかしい話なのですが図書館が爆発する前にハリーが撃たれるシーンはあれは誰がやったのか分からなくて未だに私の中で謎になっているので誰か私にそっと教えて頂けると幸いです…

 

語弊がありますが戸塚君は本当に”絶望”の似合う役者であるなと感じました。ため息が出るほどに美しい造形をした彼の顔に絶望が溢れた時、観客はその瞬間が忘れられなくなる。とはいえ普通にハッピーな役をする戸塚君も見てみたいですし戸塚君自身には絶望とは程遠い幸せに溢れた人生を送ってほしいな、と思っています。

 

最後に、何故この作品は初めにアヴェ・マリアを使用したのかなと思っていたのですがハリーにとって人間らしさやそこから生まれる温もりの象徴であったのがこの”カード”であり、彼はこのカード神格化して崇拝していたのではないかな、と思っています。

アヴェ・マリアの和訳は

 

”アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、
主はあなたとともにおられます。
あなたは女のうちで祝福され、
ご胎内の御子イエスも祝福されています。
神の母聖マリア、
わたしたち罪びとのために、
今も、死を迎える時も、お祈りください。
アーメン。”

 

といった感じなのですがハリーが命を賭してまで守ろうとしたカードは

彼の最期に祈りを奉げてくれたのでしょうか。

これぞまさに”神のみぞ知る”ですね。

 

*1:最初何故図書館が爆発したのかが分からなくて、劇場を出た後と一緒に観に行った友達に教えてもらいました。恥ずかしいですね…